びまん性大細胞型B細胞
リンパ腫(DLBCL)

JULIET試験⻑期フォローアップ

再発⼜は難治性のDLBCL患者を対象とした国際共同第Ⅱ相試験(C2201試験、JULIET試験⻑期フォローアップ)(⽇本⼈を含む)

再発⼜は難治性のDLBCL患者を対象にキムリアの有効性及び安全性を評価する、単群、多施設共同、第Ⅱ相試験(C2201試験、JULIET試験⻑期フォローアップ)

1. Schuster, SJ. et al.:Lancet Oncol. 22(10), 1403, 2021 COI:本試験はノバルティスの資金により行われた。著者にノバルティスより謝礼、研究助成金、コンサルタント料を受領した者及び社員が含まれる。*1
2. 社内資料:再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)成人患者を対象とするCTL019の有効性及び安全性を評価する第Ⅱ相単群多施設試験(C2201試験)*3
3. Pasquini, MC. et al.:Blood Adv. 4(21), 5414, 2020 COI:本試験はノバルティスの資金により行われた。著者にノバルティスより謝礼、研究助成金を受領した者及び社員が含まれる。*1
4. Schuster, SJ. et al.:N. Engl. J. Med. 380(1), 45, 2019 COI:本試験はノバルティスの資金により行われた。著者にノバルティスより謝礼、研究助成金を受領した者及び社員が含まれる。*3

  1. *1 2020年2月データカットオフ(追跡期間中央値:40.3ヵ月)
  2. *2 2019年6月データカットオフ(追跡期間中央値:32.6ヵ月)
  3. *3 2017年12月データカットオフ(追跡期間中央値:14ヵ月)

試験概要1,4 *1

試験デザイン

拡大 JULIET試験の試験デザイン

目的

再発⼜は難治性のDLBCL患者を対象に、キムリアの有効性及び安全性を検討する。

対象

2ライン注1)以上の化学療法[リツキシマブ(遺伝⼦組換え)及びアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤を含む]を受けたが再発⼜は難治性であり、かつ⾃家HSCT施⾏後に再発した⼜は⾃家HSCTの適応とならないDLBCL患者238例(スクリーニング時)のうち投与例115例注2)(⽇本⼈9例を含む)
注1)救援化学療法後に⾃家HSCT併⽤⼤量化学療法を⾏った場合、1ラインとした。
注2)⼊院での投与101例、外来での投与14例

投与方法・投与量

CAR発現⽣T細胞として5.0×108個(⽤量許容範囲1.0×108〜5.0×108個、体重に関係なく)を単回静脈内投与した。

評価項目・
解析計画
主要評価項目

キムリアの投与を受けた主要コホートの患者におけるORR[最良総合効果がCR⼜はPRであった患者の割合]:⽶国の製造施設で製造されたキムリアの投与を受けた患者を対象とし、効果判定にはLugano分類による独⽴審査委員会(IRC)判定を⽤いた。

副次評価項目

安全性、細胞動態、DOR、OS、PFS等
ORR及びDORに関しては、年齢、性別、⼈種、⺠族及び予後にかかわる要因(国際予後指標、前治療のライン数、試験登録時の疾患の病期、HSCT治療歴、再発⼜は難治性、分⼦サブタイプ、転座等)に対して部分集団解析を実施した。

コホート

以下の2つのコホートを設定した。
主要コホート:⽶国の製造施設で製造されたキムリアを投与する。
コホートA:欧州の製造施設で製造されたキムリアを投与する。

解析計画

主要評価項目(キムリアの投与を受けた主要コホートの患者におけるORR)は、中間解析と主解析の2回の解析を伴う群逐次デザインのもと、全体の有意水準を片側2.5%として検定を行う計画とした(帰無仮説:p≦20%、対立仮説:p>20%)。中間解析時に帰無仮説は棄却され、主要目的を達成した。そのため、本試験のアップデート解析(主解析以降に実施)の成績では、推論的解釈を伴う正式な仮説検定は行わず、同じ仮説に基づく名目のp値と正確な両側95%CIを提示した。
副次評価項目は、記述的な解析とし、要約統計量を適宜算出した。イベント発現までの期間に関する評価項目はKaplan-Meier法を用いて解析し、Kaplan-Meier曲線、期間の中央値、ある特定の時点でイベントが発現していない確率を適宜提示した。また、主要評価項目について部分集団解析を実施した。

患者背景1

拡大 JULIET試験の患者背景の表

有効性1,2,3

キムリア投与後のORRは53.0%*1(承認時52%*3、48/93例)であり、その内訳はCRが39%、PRが14%でした <主要評価項目>

投与後のORR(IRC判定、主要コホートEAS)

拡大 キムリア投与後のORRの内訳のグラフ<主要評価項目>

前治療のライン数、自家HSCT歴、分子サブタイプ等によらず、いずれの部分集団においても一貫したORR*1が得られました<部分集団解析>

主要コホートにおけるORRの部分集団解析(IRC判定、EAS)

拡大 ORRの表<部分集団解析>

奏効例61例における36ヵ月時点の奏効維持率は60.4%*1でした。また、DORの中央値は未達*1でした<副次評価項目>

Kaplan-Meier法で推定したIRC判定に基づくDOR曲線(FAS)

拡大 奏効例48例における奏効維持率のグラフ<副次評価項目(部分集団解析)>

投与例115例における12ヵ月時点のOSは48.2%であり*2、観察期間中央値40.3ヵ月*1の長期フォローアップ解析において以下の結果が示されました<副次評価項目>

Kaplan-Meier法で推定したIRC判定に基づくOS曲線(FAS)

拡大 投与例111例における全生存率のグラフ<副次評価項目>

投与例115例における12ヵ月時点のPFSは34.7%*2であり、観察期間中央値40.3ヵ月*1の長期フォローアップ解析において以下の結果が示されました<副次評価項目>

Kaplan-Meier法で推定したIRC判定に基づくPFS曲線(FAS)

拡大 投与例115例における全生存率のグラフ<副次評価項目>

安全性1,2

データカットオフ日*1時点では、安全性解析対象115例中全例に有害事象が認められました。
主な全グレードの有害事象は、CRS※266例(57%)、貧血55例(48%)、発熱41例(36%)、白血球数減少41例(36%)、好中球数減少40例(35%)、血小板数減少39例(34%)、下痢36例(31%)等でした。

キムリア投与後8週以内で特に注意を要する有害事象*1

投与後8週以内で特に注意を要する有害事象は、CRS66例(57%)、投与後28日目までに回復しない血球減少52例(45%)、感染症43例(37%)神経系事象23例(20%)であり、グレード3以上を認めたのは、投与後28日目までに回復しない血球減少39例(34%)、CRS26例(23%)、感染症22例(19%)、神経系事象13例(11%)でした。 115例のうち21例(18%)が投与後に新規の血球減少を認めました。

キムリア投与後8週以内で特に注意を要する有害事象(データカットオフ日:2017年3月) キムリア投与後8週以内で特に注意を要する有害事象の表

CRS

グレード3/4のCRSの発現頻度は22.6%*1でした。発症までの中央値は3⽇*3、発症期間中央値は7⽇*1でした。

神経系事象

グレード3/4の神経系事象の発現頻度は、11.3%*1でした。多くはCRSが発現している間⼜はCRSから回復した直後に認められ*3、発症期間中央値は13⽇*1でした。

副作用・有害事象発現状況詳細*1

キムリア投与後全期間において認めた主なグレード3-4の有害事象は、貧血45例(39%)、好中球数減少39例(34%)、白血球数減少37例(32%)、血小板数減少32例(28%)、CRS26例(23%)、好中球減少症23例(20%)、発熱性好中球減少症19例(17%)、低リン血症15例(13%)、血小板減少症14例(12%)等でした。
キムリア投与後全期間において認めた主なグレード3以上の副作用は、CRS26例(23%)、好中球数減少21例(18%)、白血球数減少 17例(15%)、貧血17例 (15%)、発熱性好中球減少症15例(13%)、血小板数減少13例(11%)等でした。
キムリア投与後全期間において認めた最も重篤な副作用は、CRS31例(27%)、発熱性好中球減少症7例(6%)、発熱6例(5%)、汎血球減少症3例 (3%)、肺炎3例(3%)でした。治療に関連した死亡例の報告はありませんでした。
全体として、115人の患者のうち3例(3%)がキムリア投与後30日以内に死亡し、67例(58%)がキムリア投与後30日超経過した後に死亡しました。

副作用の基本語はMedDRA/J20.0版、CRSを除いた有害事象の重症度評価はCTCAE第4.03版を用いた。
CRSの評価はPenn尺度を用いた。神経系事象の評価:JULIET試験はMedDRA 第20.1版及びCTCAE第4.03版
※3 CRSの臨床症状には、⾼熱、悪寒、筋⾁痛、関節痛、悪⼼、嘔吐、⾷欲不振、疲労、頭痛、低⾎圧、脳症、呼吸困難、頻呼吸、低酸素症等が含まれます。

【効能、効果又は性能】

1. 再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病。ただし、以下のいずれかの場合であって、CD19抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がない患者に限る。
・初発の患者では標準的な化学療法を2回以上施行したが寛解が得られない場合
・再発の患者では化学療法を1回以上施行したが寛解が得られない場合
・同種造血幹細胞移植の適応とならない又は同種造血幹細胞移植後に再発した場合
2. 再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫。ただし、以下のいずれかの場合であって、CD19抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がない、かつ、自家造血幹細胞移植の適応とならない又は自家造血幹細胞移植後に再発した患者に限る。
・ 初発の患者では化学療法を2回以上、再発の患者では再発後に化学療法を1回以上施行し、化学療法により完全奏効が得られなかった又は完全奏効が得られたが再発した場合
・ 濾胞性リンパ腫が形質転換した患者では通算2回以上の化学療法を施行し、形質転換後には化学療法を1回以上施行したが、形質転換後の化学療法により完全奏効が得られなかった又は完全奏効が得られたが再発した場合

《効能、効果又は性能に関連する使用上の注意》
1. 再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病
(1)25歳以下(投与時)の患者に使用すること。
(2)フローサイトメトリー法又は免疫組織染色法等により検査を行い、CD19抗原が陽性であることが確認された患者に使用すること。
(3)臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、【臨床成績】の項の内容を熟知し、本品の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
2. 再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫
(1)臨床試験に組み入れられた患者の組織型及び前治療歴等について、【臨床成績】の項の内容を熟知し、本品の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

CAR:
chimeric antigen receptor;キメラ抗原受容体
CR:
complete response;完全奏効
DLBCL:
diffuse large B-cell lymphoma;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
DOR:
duration of response;奏効期間
FAS:
full analysis set;最⼤の解析対象集団
HSCT:
hematopoietic stem cell transplantation;造血幹細胞移植
IRC:
independent review committee;独立審査委員会
OS:
overall survival;全⽣存期間
ORR:
overall response rate;奏効率
PFS:
progression free survival;無増悪⽣存期間
PR:
partial response;部分奏効

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